沿革(~2004)

1965年、園芸学科の改組に伴い、当研究室の前身である園芸環境工学講座が新設され、1991年の再度の改組によって、園芸植物工学講座の中の環境調節工学研究室に名称を改め現在に至っている。
新設の頃は施設園芸興隆の初期であり、ヨーロッパから様々な施設園芸技術が導入され、日本各地で園芸施設(ビニールハウスやガラス温室)が建てられ始めた時期であった。そのような時代の要請で、施設園芸の環境について研究する分野が千葉大学園芸学部に新設された。その後約20年、施設園芸における環境調節に関連した研究が精力的に行われた。
1970年代から温室の環境調節の研究と並行して,環境と植物の生長との相互関係を数値実験で明らかにしようとする研究が開始された.またコンピュータを用いた温室環境管理システムの開発研究が行われそのシステムの構築に知識工学が応用された。これら一連の研究成果は,数冊の成書にまとめられている。

1980年頃より植物組織培養技術を用いた苗生産、すなわちマイクロプロパゲーションが日本でも産業として成立し始めた。しかし、組織培養苗の価格は高いので、まだ一部の園芸作物の生産に利用されていたにすぎない。従って、社会的に安価で高品質な組織培養苗の大量生産を目標にして、植物組織培養器内の環境調節に関する研究が開始された。植物組織培養器は、ビニールハウスやガラス温室のミニチュアであるという考えの下に、培養植物の成長および形態を調節するために植物組織培養器内物理環境の調節技術確立に向けて、精力的に研究が行われてきた。研究開始から約10年、従来の培養技術とは全く異なる新しい培養技術が確立され現在、世界で広く認められ実用化されつつある。これら一連の研究成果は,多数の成書にまとめられている。

1995年頃より、植物組織培養苗だけでなく、実生苗および挿し木苗の人工光下生産の関する研究を開始した。この人工光下苗生産を閉鎖型苗生産システムと言う概念に基づいて体系化すべく研究を続けている。閉鎖型苗生産システムは、資源を節約し、環境汚染を最小にしながら、高品質の苗を適期に適量だけ生産することを目的としている。この考えに基づき、ホウレンソウ、サツマイモなどの苗生産を試みて、実用化に向けて研究開発を行っている。さらに、組織培養苗、実生苗などの弱光下低温貯蔵に関する研究を広範に行っている。これら一連の研究成果は,数冊の成書にまとめられている。